泡だらけの家

大学生となり、初めて一人暮らしを始めたころの話です。それまで家事を積極的にやってこなかった私にとっては、炊事や家事、洗濯は未知の領域でした。一人暮らしを始めてすぐのころは新しい体験だと思って楽しくやっていましたが、徐々にめんどくささも感じるようになりました。
そして、事件は3か月後の7月ごろに起きました。貧乏学生だった私は、家電をすべて中古で揃えました。冷蔵庫と洗濯機、電子レンジがついて〇万円。というような、とてもお買い得なものです。しかし、そのうちの洗濯機がよくエラーを起こし、止まることがありました。止まると、その度、もう一度洗剤を入れ最初から回すということが度々でした。悪い買い物をしたなぁと思いつつ、まだ使えるから、と無理して使っていました。その日も夜に洗濯を回し始めました。10分くらいしてピーピーと音が鳴り、またか、と思いながらやり直しました。その後、順調に動き出したように感じた私は、サークルの疲れもあって、ベッドで寝てしまいました。「ガンガン」と玄関のドアをたたく音と強烈な洗剤のにおいで目を覚ました私は、しばらく状況が理解できませんでした。部屋が泡まみれで床が見えないのです。ベッドから降りようと思ってもベッドの下はもう泡。まるで雲の上のよう、などしょうもないことも頭をよぎりましたが、玄関をたたく声の主は繰り返し「大丈夫か」と、私の安否を確認し大声で叫んでいます。意を決して泡を歩き、リビングを出て、キッチン兼玄関にでた私は2度目の衝撃。そこはさらに泡の雲が深く、私の膝くらいまで。しかも回り続ける洗濯機から泡が出続けているのです。泡は玄関の隙間から外に漏れだしているようでした。徐々に状況を理解した私は、とりあえず声の主に「大丈夫です」と答え、洗濯機をとめました。

この泡だらけの家は、その後、業者に掃除してもらい、洗濯機をはじめ、ダメになった家電(テレビ、冷蔵庫、アイロンなど)や小物類は買い替え、さらに新しい洗濯機がとどくまでの一週間はコインランドリーでの洗濯、というとてつもない金額の代償を払い、元通りになったものの、「安物買いの銭失い」を心の底から学ばされた大学1年生でした。

トイレ 水漏れ 大阪

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