どうなっているんだ、俺の人生

保証人になったことで、長年住んだマンションを手放してしまった。
借りられたのは、不動産屋で一番家賃の安かった築年数の古いアパート。
雨風を凌げるなら良いと思ってアパートを借りたのに、天井から水がポタポタ落ちてくる。
家を手放しツイてないのに、借りたアパートでは雨漏りがする、どうなっているんだ、俺の人生。
不動産屋に電話しても繋がらなくない。どこまでツイてないんだと思っていると、誰かが玄関ドアをノックした。
誰だよ、こんな夜遅くに。もしかして、借金の取り立てか?
恐る恐る玄関ドアの覗き窓から外を見ると、知らない男が立っている、どうしよう。
出ないでいると、再び玄関ドアをノックされた。
借金の取り立てなら俺の人生は終わった、そう思いながら玄関ドアを開けると
知らない男、「スイマセン」
人に謝ることはあっても、謝られることはない私、何を謝っているのだろう?
知らない男、「風呂の水を出しっ放しにしてしまい、こちらに迷惑を掛けてスイマセン」
なんだ、借金の取り立てではないのか。
借金の取り立てに比べれば、天井から水がポタポタ落ちてくるのは大したことではない。
知らない男は、私が借りている部屋の真上に住んでおり、私同様、最近引っ越して来たらしい。
私、「ツイてないね?」
男、「借金の取り立てにも追われているんです」
私、「アンタもか」
私と似たような境遇な男が哀れになり
私、「まあ、(部屋に)上がんなよ」
男、「失礼します」
男を部屋に上げたのは良いが、天井からポタポタ落ちる水で部屋の床が濡れてしまい、男とはベランダに出て話をした。
私、「まあ、人生、悪いことばかりではないよ」
男、「そうだと良いんですけど」
男と親しくなって1週間後、台所横に置いてあった洗濯機の蛇口が壊れ、台所を水浸しにしてしまい、私のツイてない人生は、もう暫く続きそう。

タイトルとURLをコピーしました